QLCセミナー

第21回QLCセミナー

講師:多田 靖啓 氏(広島大学大学院先進理工系科学研究科)
日時:2021年5月26日(水) 15:00~ Zoomにて開催
場所:茨城大学(水戸キャンパス)

※開催日を5月27日(木)としておりましたが、5月26日(水)に変更となりました。
※参加希望の方はこちらの登録用サイトから登録をお願いします。
※5月26日正午12:00(日本時間)までに登録した方にセミナー当日にZoomの情報をお送りします。

タイトル:強相関ディラック電子系における磁場誘起量子臨界現象と反磁性

アブストラクト:
 固体物質においては、グラフェンなどのように、ディラック的な線形分散をもったバンド構造が実現することがある。とくに近年、物質開発の進展によって電子間相互作用が重要になるようなディラック物質が相次いで発見され、精力的に研究が行われている。理論的には、相互作用の短距離成分によって引き起こされる半金属-絶縁体量子相転移などについて多くの研究があり、高エネルギー物理学におけるカイラル相転移との関係からも興味が持たれている。一方、例えばグラフェンが強い軌道反磁性を示すように、一般的にディラック電子系の軌道自由度は磁場に対して敏感である。このことは、電子間相互作用の下で、軌道磁場によって物性をコントロールできる可能性を示唆している。
 このような背景を踏まえて本セミナーでは、強相関ディラック系における、磁場で誘起される電荷密度波相転移[1]と磁場中の軌道反磁性[2]について、密度行列繰り込み群による数値計算を紹介する。とくに、秩序変数や軌道磁化がゼロ磁場での量子臨界点近傍でどのように振る舞うのかに着目し、関連する他の現象とのアナロジーを明らかにすることを通して、その理解を深めたい。

[1] Y. Tada, “Quantum criticality of magnetic catalysis in two-dimensional correlated Dirac fermions”, Phys. Rev. Research 2, 033363 (2020).
[2] Y. Tada, to be submitted.

担当:佐藤正寛(茨城大)