第19回QLCセミナー
講師:杉浦 祥 氏(NTT Research Inc. Phi laboratory)
日時:2020年12月23日(水) 15:30~ Zoomにて開催
場所:茨城大学(水戸キャンパス)
※参加希望の方はこちらの登録用サイトから登録をお願いします。
12月23日正午12:00(日本時間)までに登録した方にはセミナー当日にZoomの情報をお送りします。
タイトル:ポラリトンによる光波混合とFloquetレーザー
アブストラクト:
フォノンと光が物質内で束縛状態を形成している時、それはフォノンポラリトンと呼ばれる。フォノンポラリトンを形成する事で、物質内に光を閉じ込めることができ、伝播速度も遅くすることができるなど、フォノンポラリトンはテラヘルツ周波数の光学において重要である。
本講演では、まず、ポンプ光により強くフォノンポラリトンを励起した状況下における、ポンプ&プローブ実験の解析のための理論的枠組みを提示する。物質内のプローブ光の伝搬は、ポラリトンによる振動により、FloquetバージョンのMaxwell方程式により記述され、非線形性によりポラリトンとプローブ光の光波混合が引き起こされる。その結果、ある周波数帯ではプローブ光が増幅される事が示され、これはCartellaらの最近の実験[1]と整合する。
本講演ではさらに、この系において共鳴的なポラリトンの散乱によるレーザー現象が生じていることを示す。この時、プローブ光は時間とともに指数関数的に増幅され、ポラリトンは効率的に光へと変換される。このレーザー現象は現在の実験技術において容易に到達可能な範囲にあり、例えばSiCにおいて実現可能であると考えられる。
[2] S. Sugiura, E. A. Demler, M. Lukin, and D. Podolsky, arXiv:1910.03582.
担当:佐藤正寛(茨城大)