4/27(火)第20回QLCセミナーをオンライン開催(茨城大学)

20回QLCセミナー

講師:大上 能悟 氏(Imperial College London)
日時:2021年4月27日(火) 15:00~ Zoomにて開催
場所:茨城大学(水戸キャンパス)
※参加希望の方はこちらの登録用サイトから登録をお願いします。
4月27日正午12:00(日本時間)までに登録した方にはセミナー当日にZoomの情報をお送りします。

タイトル:表面・界面で不均一性が誘発する光学現象たち

アブストラクト:
 物質の表面・界面でバルクと異なる特性が見られるのは、Pauliが「神はバルクを創った。表面を作ったのは悪魔だ。」と形容した通りだが、物性物理の文脈だけでなく、光学においても表面・界面に特有の効果が発現する。本セミナーでは、表面・界面の不均一性が誘発する光学現象を2つのトピックスを紹介する。
 1つ目のトピックは、不均一逆ファラデー効果によるスピン輸送 [1]。媒質の界面で光が全反射するとき、入射光が透過側媒質にエバネッセント場という表面状態を発生させる。電磁場解析によると、この表面状態はある種の円偏光になっている。これにより、媒質中に逆ファラデー効果由来の不均一磁場が誘発される。不均一磁場下では、Stern-Gerlach機構で、電子スピン流が発生する。
 2つ目のトピックは、界面の非平衡ダイナミクスによる非対称回折 [2] とVavilov-Čerenkov放射 [3]。媒質の界面に周期的凹凸があると、光の反射・透過において、回折パターンが観察される。凹凸がダイナミカルに変化する場合は、これを反映したDoppler-likeな周波数シフトも発生する。静的な凹凸からは対称な回折パターンが発生するが、動的な凹凸からは非対称な回折パターンが生じる。これは時間・空間の自由度の絡み合いによるものである。ダイナミクスが超光速の場合、回折対称性の破れに加えて、Vavilov-Čerenkov放射が発生する。

[1] D. Oue & M, Matsuo “Optically induced electron spin currents in the Kretschmann configuration,” Phys. Rev. B 102, 125431 (2020).
[2] D. Oue, K. Ding & J. B. Pendry “Calculating spatiotemporally modulated surfaces: a dynamical differential formalism,” arXiv:2104.00614v1 [physics.optics] (2021).
[3] D. Oue, K. Ding & J. B. Pendry “Vavilov-Čerenkov radiation in the vacuum from a superluminal grating,” to be submitted (2021).

担当:佐藤正寛(茨城大)