新学術領域研究(研究領域提案型)「量子液晶の物性科学」の研究概要
領域略称名:量子液晶 領域番号:6101 設定期間:令和元年度~令和5年度
領域代表者:芝内 孝禎 所属機関:東京大学大学院新領域創成科学研究科
近年、様々な固体物質において液晶に類似した電子状態(スピン液晶、電子ネマティック秩序、対密度波など)が観測され、磁性絶縁体・強相関金属・超伝導の各分野で独立に研究されている。本研究領域では、このような液晶的電子状態がいずれも量子多体効果によって新しいスケールの構造が生じる自己組織化的現象である点に着目し、「量子液晶」という新概念によって統一的に取り扱い、その基礎学理を構築する。また、上記の電子状態にとどまらず、量子流体と呼ばれる系において何らかの対称性を破る状態や、通常の液晶を基に量子効果を導入したものなど、幅広い物質群を量子液晶とみなし、その普遍性と多様性を探究する。
公募研究では、各計画研究とは相補的に、独自の発想に基づく新しい視点を持つ提案を期待する。電子状態についての研究の経験にかかわらず、新しい研究手法の開発を含むものや、量子効果を利用した将来の新技術への提案なども歓迎する。研究項目A01では、量子液晶状態を示す物質を開発・作製し、他の実験研究に試料提供を行う。無機物質系だけではなく、有機化合物・分子性物質や錯体・金属有機構造体などの幅広い物質群の研究提案を広く募集する。研究項目B01 では、量子液晶の基底状態と素励起の解明を目指した研究、特に時空間スケールの階層構造に着目した提案などを期待する。研究項目C01 では、量子液晶状態やその創発現象に関する理論研究を募集し、他の実験的研究項目との連携を意識した提案が望まれる。研究項目D01 では、様々な研究手法を駆使し、量子液晶の制御を目指すとともに、巨視的物性変化を基にした機能を探索する研究を募集する。
異分野研究者の交流を促進するため、共同研究を推進する提案や、無機物性分野以外からの学際的な研究提案も広く募集し、液晶を含むソフトマター、有機物質系物性、量子情報、応用数学などの研究分野からの積極的な応募を期待する。なお、実験系では、単年度当たり500 万円を上限とする大型研究を3件設定する。
研究項目 | 応募上限額(単年度当たり) | 採択目安件数 |
---|---|---|
A01 量子液晶物質の開発 | 実験系:500万円
実験系:300万円 理論系:150万円 |
3件
11件 5件 |
B01 量子液晶の精密計測 | ||
C01 量子液晶の理論構築 | ||
D01 量子液晶の制御と機能 |
第2期(令和4-5年度)公募研究につきまして、本領域では公募説明会を開催いたしました。
説明会の内容は、QLCチャンネルにて動画公開しておりますので是非ご覧ください。
公募要領等、詳細は下記の文科省HPを参照下さい。
令和4年度科学研究費助成事業‐科研費‐(学術変革領域研究(
https://www.mext.go.jp/a_menu/
(公募要領、計画調書のダウンロード)
https://www.mext.go.jp/a_menu/