The 23rd QLC seminar
Speaker:Dr. Tomonori ARAKAWA (AIST)
Date & Time : Thursday, July 1, 2021. 10:30~
Place:Online seminar using Zoom
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Title:円偏波マイクロ波で見るマグノン系・電子系の電磁気応答
Abstract:
マイクロ波帯の空洞共振器は、電子スピン共鳴法に利用されるなど、物性研究に幅広く利用されている[1]。このようなマイクロ波をプローブとした実験手法では、直線偏波したマイクロ波を利用するのが一般的である。これに対し、光を用いた物性実験では円偏波の自由度を積極的に利用している。そこで近年、マイクロ波帯の円偏波の制御技術を確立し、空洞共振器を用いた高感度な円偏波分解測定技術を確立した [2]。
さらに、この技術を磁性体や2次元電子系の研究に応用すると、既存の測定手法では検出不可能であった情報が得られることが分かってきた。本セミナーでは、円偏波分解測定技術の詳細と、これまでに得られた以下の2つの成果を紹介する。
①マイクロ波の電場成分を用い、GaAs/AlGaAs界面に形成された2次元電子系の動的伝導度テンソル(縦伝導度・ホール伝導度の実数・虚数成分)の測定に成功した。さらに、動的伝導度の虚数成分を精密に評価することで量子ホールの微視的な理解に繋がる新たな知見を得た。
②マイクロ波の磁場成分を用い、単結晶YIG球のマグノンモードを回転方向分解で測定することに成功した。ここでは、空洞共振器中に2つのYIG単結晶球を配置し、それぞれに独立な静磁場を印加することで、疑似的な反強磁性体の実現やマグノン-フォトン結合の制御に関する研究を行った。
参考文献
[1] O. Klein et al., International Journal of Infrared and Millimeter Waves 14, 2423 (1993).
[2] T. Arakawa et al., Review of scientific instruments 90 (8), 084707 (2019).
Committee Chair:Takasada SHIBAUCHI(The University of Tokyo)