The 15th QLC seminar
Speaker:Dr. Shunsuke C. Furuya (Graduate School of Science and Engineering, Ibaraki University)
Date & Time : Wednesday, November 4, 2020. 15:30~ (using Zoom)
Place:Mito campus, Ibaraki University.
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Title:対称性に守られた量子臨界相と共形場理論の大域的異常
Abstract:
物質の相の分類は物性物理学における最も基本的な話題のひとつである。量子相はまず、基底状態がgappedかgaplessかという点に着目して大別できる。前者はさらに、対称性に守られたトポロジカル相(Symmetry-protected topological相、SPT相)やトポロジカル秩序相など、トポロジカルな分類が可能であり、最近20年間で活発な理論研究がされてきた。数年前我々はgapless量子相の分類の例として、「対称性に守られた量子臨界相」(Symmetry-protected critical相、SPC相)というクラスの相の存在を指摘した[1]。
SPC相はSPT相と同様に、適当な対称性の下で“自明な”gapped相に相転移なしにつながらないことが保証される。gaplessな量子相にある物質の低エネルギーの物理は一般に、ある量子場の理論に対応することが期待できる。したがってSPC相の対称性による保護の問題は、量子相に対応する量子場の理論の対称性の問題に読み替えられる。具体的には、場の理論の持つアノマリーの、UVとIRの固定点のマッチングの問題に帰着される。
本セミナーではスピン−S 反強磁性Heisenberg鎖などの、1次元量子スピン系を例にとりSPC相の性質を議論する。この議論にはHeisenbergスピン鎖の対応物である(1+1)次元共形場理論、すなわちSU(2) Wess-Zumino-Witten理論を用いる。本セミナーでは技術的詳細に深入りせず、上記の1次元量子スピン系の例においてSPC相という分類が、Haldane現象やLieb-Schultz-Mattis定理などの、1次元量子スピン系の現象とどのように関連するかということに重点を置き、解説を行う。
[1] S. C. Furuya and M. Oshikawa, Phys. Rev. Lett. 118, 021601 (2017).Committee Chair:Masahiro SATO(Ibaraki University)